心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 グレイの返事を聞いてルシアンとエミリーは大喜びしている。
 どうやら2人とも最初からこちらのデザインのドレスを希望していたようだ。グレイの許可を得たことに安心している。


「決まったなら俺はもう不要だろう? 執務室へ戻るぞ」

「あっ。ありがとうございました、グレイ様!」


 ルシアンとエミリーがペコッとお辞儀をした。
 ソファから立ち上がったグレイは、マリアの頭を軽くポンと撫でてから、部屋を出て行く。
 


 ……これ、俺がいなくてもよかったんじゃないか?



 そんなことを考えながら、グレイは執務室へと戻って行った。
 
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