心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
レオの戸惑いに気づいていないのか、マリアは笑顔で拳を作り、グッと気合いを入れている。
「え? 一緒に寝……って、え? グ、グレイの部屋で寝るの? え? い、一緒に?」
「うん。マリアが不安な日には、一緒に寝てもいいって言われてるから」
マリアの瞳は一切の汚れもなくキラキラと光っていて、綺麗に澄んでいる。その件に対する照れや気まずさのカケラも感じない。
レオの混乱は増すばかりだ。
「え、いや。でも、それって昔の話だよね? ね?」
「んーー、最後に寝たのは半年以上前かなぁ。……もっと前?」
腕を組み、上を向いて考え込むようなポーズでマリアが答える。
半年以上前ってことは、まだマリアが16歳の頃……。
レオは、当時のマリアを思い浮かべた。
成長期が始まる前のマリアは、まだ12歳くらいの子どものような見た目だった。
内面の幼さと合わせても、美しくはあるが妹にしか思えない。そんな存在。
怖いから一緒に寝てほしいと頼まれても、特に何も思わず受け入れられるだろう。
むしろ、不安なら一緒に寝ようとこちらから提案したくなるくらい、大事な存在だ。
だが、今は……。