心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
これも、あとでエドワード様に聞こうっと。
明日王宮の研究室に行く予定だし、その時に会えるかな?
エドワード王子とマリアはもう10年の付き合いではあるが、実は全く会話をしなかった時期がある。
14・15歳の頃になると、エドワード王子が急にマリアを避け始めたのだ。
王宮で会っても、挨拶すら返してくれない。
目も合わせてくれない。
名前を呼んでも顔を背けて無視され、笑顔を見るどころか怒られることすらない。
エドワード王子のことを友達だと思っていたマリアは、この頃ひどくショックを受けた。
グレイに相談しても「よかったじゃないか」と言われて終わりだったし、王子の執事やレオに相談しても「思春期だから、そのーー……」と、よくわからない言葉で濁されて終わった。
どうすることもできずにいたある日、まただんだんとエドワード王子から話しかけられるようになり、今では出会った頃のようになんでも話せる関係に戻っていた。……マリアの中では。
久々に会話をした時には、エドワード王子の身長がさらに高くなって、声が低くなっていたことにマリアは驚いた。
そして、今のエドワード王子は、なぜかやけにグレイとの現在の関係について色々と聞いてくる。