心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
78 マリアの周りの恋愛感情
執事とレオが出て行った後、部屋に取り残されたマリアとエドワード王子。
丸いテーブルを挟んで向かい合って座っていたが、2人が出ていくなり王子がガタンと勢いよく椅子から立ち上がった。
そして、無表情のままマリアに近づいてくる。
「あ……あの、エドワード様?」
「…………」
王子はマリアの腕を掴んで立ち上がらせると、ズンズンと部屋の奥に置いてある長ソファに連れていく。
足の長い王子に引っ張られて、マリアはかけ足状態だ。
「わっ!」
そのまま少し乱暴にソファに投げ出されたマリアは、驚いて王子を振り返った。
王子はマリアの隣にドスッと座る。
身体が触れ合えるほどに近い距離だ。
「エドワード様。いきなり何……」
さすがにマリアが怒ろうと口を開くと、目を細めた王子の顔がグイッと至近距離にまで近づいてくる。
投げ出されたことで、マリアの身体はソファに軽く倒れ込んでいるような状態だ。
王子はそんなマリアを囲うように、右手はソファの背面に、左手はマリアの腰の横あたりに置いている。
王子が腕の力を緩めたなら、マリアの上に倒れ込んでくるだろう。
「……エ、エドワード様?」