心を捨てた冷徹伯爵の無自覚な初恋 〜聖女マリアにだけ態度が違いすぎる件〜

10 幼少期のマリアと母の死


 聖女マリア。
 腰まで伸びたプラチナブロンドの長い髪。透き通るような白い肌。宝石のように輝く黄金の瞳。ピンク色の小さな唇。

 『聖女』という言葉がぴったりと当てはまる……とても美しい少女。
 背が低いため、見た目はまだ4歳くらいにしか見えないが、本日6歳の誕生日を迎えた。
 
 誕生日ではあるが、今日がマリアの誕生日だということを、ジュード卿もエマも……そしてマリア本人でさえ覚えていない。


 マリアとエマがジュード卿の屋敷に来てから3年ほどは、マリアはとても大切に扱われていた。
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