心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 大切にされていた頃は、マリアは毎日姫のような可愛らしいドレスを着て、毎日美味しいご飯を食べていた。
 母であるエマも、毎日笑顔で幸せそうにマリアを可愛がってくれていた。



 変化が起きたのは、マリアが3歳になった頃である。

 ジュード卿が『聖女』という存在に飽きたのだ。

 本来、聖女とは国のためにその力を発揮する存在である。
 戦争や災害……そういった大きな被害が起きる場でこそ聖女の力は活かされ、国民から崇められるのだ。

 屋敷から一歩も出してもらえず、クズのような貴族の治療、屋敷内の清掃浄化しかしていない聖女に、ジュード卿は何の魅力も感じなくなっていた。
< 71 / 765 >

この作品をシェア

pagetop