心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
食事は気が向いた時にキーズが運んでくるが、どれも残飯のような物ばかりであった。
イザベラからは、言葉の暴力や直接の暴力もある。
伸び切った長い爪で引っ掻かれたことは、数えきれないくらいだ。
そのたびに聖女の力で治してはいたが、力の使えない日にできた傷は、回復するまで痛みに耐えなければならなかった。
どうして、この人はこんなに怒っているんだろう……。
マリアは、イザベラの行動をずっと不思議に思っていた。
そんな状態のまま1年が過ぎたある日、マリアの部屋に新たな人物がやってきた。
誰もいなくなった夜遅くに、コソコソと入り込んできた少年が。