君がいない
君の隣には、とても可愛い女の子が寄り添っていた。
少し前までは、あたしの定位置だったのに。
その居場所はもう、あたしのものなんかじゃなかった。
「……千尋……」
君は、あたしを見るなり、ひどく気まずそうな顔をした。
彼女はきょとんとした顔で、あたしをじっと見ている。
そして君に、鈴を転がしたような可愛らしい声で聞いたんだ。
「ねぇ、誰?」
君は躊躇することなく、
「友達だよ」
お日様のような優しい笑顔で、彼女にそう言った。