運命の人

 「可愛い方ですね」

 「褒めても何も出ませんよ」

 冷たくあしらうも、如月さんには効果がなく。

 「連絡先を教えてくれませんか?」

 と言われた。

 「なぜですか?」

 「また会いたいから」

 『まだ一緒にいたい』の次は『また会いたい』と来たか。

 「怪しい」
 「者ではないですよ」

 私の言葉を紡ぐように如月さんが楽しそうに言うけど、揶揄われている感が否めない。
 そう簡単に教えてたまるかという気持ちが湧いてきた。

 「必要があれば名刺の連絡先に連絡ください」

 「それは社用でしょう?プライベートな連絡先が知りたいです」

 「なぜですか?」

 本日、何度目かの疑問を投げ掛けると、如月さんは衝撃的な単語を口にした。

 「あなたに一目惚れしたから」
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