運命の人

 「さてと。そろそろ帰るよ」

 残りのビールを一気に飲み干し、グラスをマスターの方に差し出す。

 「ご馳走さまでした」

 カードを出して支払いをお願いした。

 「なんだよ、玲。もう帰るのかよ。まだ話し足りないんだけど」

 「ダメよ、二朗。引き留めても無駄なの。今の玲は私たちよりツインレイの子が優先なんだから」

 紗香は二朗にそう言うと俺の方を見上げて「幸せの報告、楽しみにしてるわね」と言った。
 だから「近いうちにかならず」と答えたけど、なにせ自分からアプローチするのは初めてで戸惑っている。
 でも待っていたって始まらない。
 スマートフォンを取り出し、メッセージを送ることにした。
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