四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
四季くんが私の胸にトン、と指を置く。

ヒュッて呼吸が漏れて、
一瞬、息を止めてしまった。

「なんで?」

「これ…は…」

「シュリは俺に嘘なんかつけないよね?ちゃんと言って?シュリが悪いの?」

「ちがう…今日は…」

「今日は?」

四季くんの瞳を見ていると催眠術にかかってしまったみたいな気持ちになる。

言いたくないのにくちが勝手に動いてしまう。

四季くんには知られたくなかった。
卒業するまで…ううん、卒業してもずっと黙ってるつもりだった。

私の中で一番消したかった過去。

「四季くん…私…」

「うん?」

「柳瀬晴陽と付き合ってたの…」

スーッて息を吸った四季くんが、かすめるみたいなキスをした。

「初めてじゃないんだろうなとは思ってたけど、それが柳瀬?」

コクンって頷いた私の頬に触れて、
四季くんは「まいったな…」って呟いた。

「キスも?」

「うん…」

「その先も?」

「………うん」

「そっかぁ。あー、ごめんね?こんな状況なのにまた嫉妬してる。柳瀬の態度も、異常に嫌ってるシュリも変だなとは思ってたよ。でも相性の問題だと思ってたし…まさかね…」

「ごめんなさい。隠してて…。私にとっても消したい過去だったの。四季くんには知られたくなかった」

「柳瀬、結婚してんじゃん。子どもだっているだろ?なんで?」

「ちゃんと話すね…」

「じゃあ帰ろう」

「帰るの?」

「ここじゃダメ。誰が聞いてるか分かんないから」

「そうだよね…」

「うん。帰ろう」
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