四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!
「ねぇ、あの子だぁれ?」

耳にツン、と響くような高い声で言いながら、女性が私を見つけて顎でしゃくった。

しまった…。
気づかれてしまった。

もしかしてまた新たなご親戚の登場か、
近所のお姉さんのご用事か何かかと思ったけれど、この雰囲気、たぶん違う。

四季くんがゆっくりと私を見上げて、
二階からでも分かるくらい、眉間に皺を寄せた。

「シュリ…」

「シュリ?おともだちぃ?」

「彼女だよ」

「嘘」

「嘘ってなんだよ…」

「じゃあ今日からは元カノ、ね?」

「は…」

なにもかもがスローモーションに見えた。

女性が四季くんの首に回した、白くて細い腕。
真っ赤なネイル。

四季くんは玄関の外を向いているから顔が見えないけれど、
女性の傾けられた首。

密着する体。

キス…しちゃった………。
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