四人の旦那様〜結婚してください〜
二人でモカちゃんを撫でていると、健吾さんの鞄に入っていたスマホが鳴り始めた。電話がかかってきたみたい。

「胡桃さん、すみません。ちょっと電話に出てきます」

「はい。大丈夫です」

健吾さんは早足でスマホを手に外へと出て行き、残された私はモカちゃんを一人で触っていた。春の温かい日差しとモカちゃんの体温に、昨日たっぷり眠ったというのに眠くなってしまう。その時だった。

「ねえねえ、君一人？」

トントンと肩を叩かれて声をかけられた。横を見ると、クールなかっこいい大人という健吾さんとは真反対な男性がいた。伸び伸びのスウェットに傷んだ長髪。凪さんも長髪だけど、ツヤツヤで綺麗だ。ニヤニヤした顔で声をかけられ、警戒心が高まっていく。

「いえ。人と来ています」

「え〜？でもいないじゃん」

「電話がかかってきたので外に行っています」

「じゃあ一人ってことじゃん！俺さ、連れが帰っちゃったんだよね〜。寂しいから一緒に遊びに行ってくれない？」

男性はペラペラと喋り、私の腕を掴んで立たせようとしてくる。私は「やめてください！」と言うものの、男性は「いいじゃん」と言って話を聞かない。
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