【マンガシナリオ】私のイチバンボシ

第八話 推しと一晩……⁉︎

○宮本家・玄関(夜)

えま、ドアを開けて帰って来る。

えま「ただいま……」

玄関にはたくさんの靴が並んでいる。

えま「誰か来るんだっけ? そんなこと言ってなかったけど……」

えま、廊下の奥を見ながら家に上がる。


○同・リビングダイニング(夜)

えま「ただいま~。ママ誰か来てるの?」

えま、リビングを見てスクールバッグを床に落とす。

ユニクラウン「はじめまして! ユニクラウンです!」

えま「すみません、家間違えましたぁ……」

えま、鞄を拾ってこっそり部屋を出ようとする。

翼「ちょっ。おーい!」

凛太郎「ごめんね急に驚かせちゃって」
と、えまに笑いかける。

えま「うそ、凛くんだぁ……」
と、口元を手で押さえて感動。

凛太郎「ねぇどうしよう。反応が可愛すぎる」

翼「ちょっとちょっと! 俺もいるよ!」

翼、えまの前まで歩いて行きえまと握手する。

えま「どうしよう。もうこの手洗えない……!」
と、喜ぶ。

悠真「突然ごめんね。はじめまして、佐々木悠真です」
と、えまに手を振る。

えま「もちろん存じ上げております! はじめまして。宮本えまです! どうしよう、生のささがいる……」
と、うっとり見つめる。

柊也「みんなその辺にしとけよ」
と、陽斗の方を見る。

陽斗、面白くなさそうにしている。

凛太郎「(ニヤニヤしながら)ほら。はるピーも自己紹介しないと」

陽斗「……俺はいいって」
と、拗ねている。

えま「ちょっと待ってください。これは一体どういう……?」

美香「凛くんから遊びに行っていいですかって連絡が来たのよ」

美香、料理を運びながらリビングに来る。

えま「え? ますます謎が増えたんだけど!」

えま、助けを求めるように陽斗を見る。

陽斗「実は……」


○(陽斗の回想)事務所・レッスン室

陽斗、床に座ってえまからもらったタオルで汗を拭く。
翼、陽斗の隣に座る。

翼「陽斗、最近なんかいいことあったしょ?」

翼「いや? 特にいつも通りだけど……」

悠真「みんなで話してたんだ。はるピーなんか最近楽しそうっていうか、調子良さそうだなって」

陽斗「まじ? 自分ではあんま分かんないけど」

凛太郎「(ニヤニヤしながら)社長の家、そんなに楽しいの?」

柊也「おい凛。直球すぎだって」

メンバーもニヤニヤする。

陽斗「え、なに。コワイコワイ」

翼「俺らも1回会ってみてーなぁ。社長の娘さん」

凛太郎「名前なんて言うの?」

陽斗「名前? ……えまだけど」

凛太郎「ていうか、社長の家遊びに行っちゃおうよ!」
と、スマホを取り出す。

柊也「友達みたいなノリだな」

悠真「でもはるピーから奥さんに聞いてもらえばワンチャンありそうじゃない?」

翼「じゃあ陽斗よろしく!」

陽斗「嫌だよ。居候の分際で人呼ぶとかヤバいだろ。しかも騒がしいのが4人も」

翼「おい。誰が騒がしいって言うんだよ!」

陽斗「お前が一番な?」

翼「あ、俺か」
と、笑う。

凛太郎「ねぇ! 美香さんいいって!」

凛太郎、美香とのメッセージ画面を見せる。

翼「え⁉︎ 凛、美香さんの連絡先知ってたの?」

翼「ナイス凛太郎!」

柊也「楽しみだな~」

凛太郎「ちゃんとご挨拶しないとね」

翼「うちのはるちゃんがいつもお世話になってますって」

悠真「えまちゃんの前ではるピーがどんな感じなのかも気になるし」

陽斗、やれやれとため息をつく。
(陽斗の回想終了)


○宮本家・リビングダイニング(夜)

えま「それで今に至ると……」
陽斗、頷く。

えま「(真剣に)陽斗くん。ちょっと来てください!」

えま、陽斗を引っ張ってリビングを出ていく。


○同・廊下(夜)

えま「どういうことですか! 連れてくるなら事前に教えてくれれば良かったのに!」

陽斗「ごめんて。驚かせたいからえまには秘密にしろって言われて」

えま「もーう! 学校だったからメイク全然だし髪もボサボサだぁ」

えま、スマホのインカメを見ながら前髪を直す。

陽斗「……別に、化粧とかしなくてもそのままでいいじゃん……」

陽斗、拗ねたように言う。

えま「ダメです!」
と、陽斗を鋭く見る。

陽斗、納得いかない顔。

翼「おーい。何イチャついてんだよお2さん。美香さん呼んでるぞ」
と、呼びに来る。

陽斗「別にイチャついてないから」

陽斗、笑いながら翼とリビングに戻って行く。
えま、陽斗と翼の後ろ姿を見ながら、

えま「もう!」
と、自分の部屋に入る。


○同・えまの部屋(夜)

えま「どうしよう。しっくりくる服が全然ない! 今から買いに行く……は、さすがに無
理か」

えま、クローゼットから大量に服を出してベッドに並べる。
えま、鏡の前で服を当てて全身を確認する。

陽斗の声「……別に、化粧とかしなくてもそのままでいいじゃん……」

えまM「いつも綺麗な女優さんばっかり見てるくせに!」

ドアをノックする音。

えま「はーい」

美香の声「えまー? みんな待ってるよ」

えま「うん! 今行く!」

えま、着替え始める。


○同・リビングダイニング(夜)

テーブルには豪華な料理が並ぶ。

翼「すげー!」

悠真「超美味そう!」

美香「嬉しい~! みんなが来るから久しぶりに張り切っちゃった!」
と、料理を持ってくる。


○同・キッチン(夜)

陽斗、キッチンで棚から食器を取る。

柊也「これ持ってけばいい?」

陽斗「うん、ありがと柊也」

柊也「それにしても、えまちゃんびっくりしてたな」

陽斗「うん。でもえま超喜んでたよ」
と、拗ねたように言う。

柊也「(ニコニコ)そっかそっか」
と、陽斗の頭をポンポンする。

陽斗「だからこの間から何その顔」

柊也「俺は元々こういう顔だって」

柊也、笑いながらお皿を持っていく。


○同・リビングダイニング(夜)

陽斗と柊也がお皿を持ってくる。
宮本は席に着いている。
凛太郎と翼と悠真はカーリーと遊んでいる。

美香「お客様に運ばせてごめんね。ありがとう」

陽斗「いえ。こちらこそ急に押しかけてすみません」

美香「いいのいいの。凛くんから連絡もらったら嬉しくなっちゃって」

宮本「なんで凛太郎が美香の連絡先知ってるんだ?」

宮本、凛太郎を怪しむ。

凛太郎「うわぁ! 社長ヤキモチ妬いてるぅ!」

悠真「さすが愛妻家!」

宮本「まぁな」
と、喜ぶ。

凛太郎「社長にもメッセージ送りましょうか?」

宮本「いい! いらない!」

えま、ダイニングに入って来る。

美香「さ! 食べましょ!」
えまと美香とユニクランも席に着く。

宮本「それじゃあ乾杯!」
 
一同「かんぱーい!」

えま以外はお酒の入ったグラスを持って乾杯。

×  ×  ×

翼「改めて、ユニクラウンの杉野翼です!」

悠真「佐々木悠真です!」

凛太郎「凛太郎です!」

柊也「リーダーの加藤柊也です!」

陽斗「……」

メンバー、陽斗を見つめる。

陽斗「……田中陽斗です」

えま「(緊張しながら)皆様のご活躍は拝見してます! ユニクラウンファンクラブ会員番号32673。宮本えまと申します!」

翼「すげぇ。会員番号まで言えるんだ!」

凛太郎「カワイイ! なんか面接みたいになってる」

翼「宮本家の皆様、うちの陽斗がいつもお世話になってます」

悠真「はるピーって家だとどんな感じ?」
と、えまに質問する。

えま、瞬きをして固まる。

悠真「?」

えま「まだこの状況が夢なんじゃないかと思って……ささに話しかけてもらうなんて、ほんと夢みたいです!」
と、嬉しそうにする。

陽斗、「え?」という顔でえまを見る。

柊也「悠真。感動してもらえて良かったな」

悠真「いや嬉しいわ。はるピー担って聞いてたけど、これワンチャン俺に担当替えあるよね?」

陽斗「いや、ないから!」
と、強めにツッコむ。

翼「やっぱさ、毎日会えると慣れるしさ、陽斗大したことないっしょ? そろそろ飽きてきたっしょ?」

凛太郎「(笑いながら)飽きてきたはヤバい。はるピー泣いちゃうよ」

凛太郎、陽斗の頭を撫でる。
陽斗、不機嫌そうな顔。

えま「全然そんなことないです!」
と、必死に否定。

柊也「だって! 良かったな陽斗」

陽斗「……お前らマジふざけすぎ!」

一同、笑う。

×  ×  ×

みんなでユニクラウンのライブDVDを観ている。
翼、テレビの横で踊り出す。

えま「え! どうしようヤバい!」

えま、口元を押さえて感動する。
陽斗、えまを見て、

陽斗「(対抗するように)……俺も踊る」
と、立ち上がるがふらつく。

凛太郎「はるピー大丈夫?」

柊也「座っときな」

柊也、陽斗をソファに座らせる。

悠真「まぁはるピーは家ここだし、もう寝るだけだからいいよね」

柊也「俺らもそろそろ失礼しよ」

凛太郎「だね!」
と、立ち上がる。

×  ×  ×

翼、ソファに座る陽斗の膝をトントンとする。

翼「じゃーな陽斗。いい夢見ろよ」

陽斗「……ん」

陽斗、眠そうに手を挙げる。


○同・玄関(夜)

ユニクラウン「おじゃましました!」

美香「また来てね!」

宮本「気を付けて帰れよ」

凛太郎「えまちゃんおやすみ!」

えま「おやすみなさい!」

えま、手を振って見送る。


○同・リビングダイニング(夜)

陽斗、ソファの背もたれに頭を預けて目を閉じている。
えま、水の入ったコップを持って陽斗の隣に座る。

えま「陽斗くん大丈夫ですか……?」

陽斗、ゆっくり目を開ける。

陽斗「いつもはこんなになんないのに。なんか今日は酔った」

えま「これ、水。良かったら」

えま、陽斗の前にコップを見せる。
陽斗、頷いてコップを持つえまの手を上から握って飲み始める。

えま「!」

陽斗「ありがと」

陽斗、えまの手に触れたまま目を閉じる。

えま「あの、コップ……」

陽斗「(寝息)」

えま、コップを持ち替えてテーブルに置く。

えま「あのぉ、陽斗くん?」

陽斗「(寝息)」

えま、手を離そうとすると、陽斗の頭が肩に乗る。

えま「ウソ……」

えま、そーっと肩を見る。
気持ちよさそうに眠る陽斗。

えま「あのぉ。田中さん?」

陽斗「(寝息)」

えま「……陽斗くん?」

陽斗「んッッ……」

えま、笑いを堪える。

陽斗、気持ちよさそうに眠る。
えま、陽斗の頭を支えながらソファの背もたれに背中をくっつける。
えま、嬉しそうにはにかむ。


○同・リビングダイニング(朝)

宮本、マグカップを持ってダイニングに入って来る。
ソファを見ると、えまと陽斗が向き合うように横になって眠っている。

宮本「なんだこりゃーーー!」
と、叫ぶ。

えまと陽斗、目を覚ます。
目が合って固まる。
2人には毛布がかけられていて、陽斗がえまの腰に手を添えている。

えまと陽斗「わっ!」
と、起き上がって離れる。

見つめ合う2人。

えまM「一体どういうことーーっ⁉︎」
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