造船王はその愛を諦めきれない~その人は好きになってはいけない相手でした~

思いが通じ合ってから、凛を毎日のように求めてしまう。

四日目は、あいにく天気が雨だったのもあり、一日中部屋に閉じ籠もって、凛と愛しあった。

手に入れたとたん、歯止めがきかなくなった。
昨日より今日の方がもっと好きだと思い、ただ歯を磨いているだけでも可愛くて堪らない。

重傷だ。
自分でも、どうしたのかと思うほど溺れている。

理由なんてわからないけれど、ただ一緒に居ることが幸せで、楽しくて仕方が無い。

興奮して痕をつけすぎたせいか、凛は水着を着てプールに行けないと嘆いていた。
今は他の男に凛の水着姿を見せたくないし、行かせるつもりも無かったのでしてやったりだ。

計画的犯行とも言う。

その次の日の朝は、台湾に入港した。
船は夜まで停泊するので、上陸して観光と買い物を楽しんだ。

台湾での観光は駆け足となったが、グルメは飲み物やスイーツを楽しみ、買い物では、台湾で流行っているというファッションブランドの服をいつくか買ってあげた。

今日はその中から、セットアップの短パンとシャツを選んで着てくれている。
カラフルな色使いの服もよく似合っていた。

本当は宝石も贈りたいが、もう少し好みを知ってから選ぼうと思っている。

夜になるとまたベッドへと誘い、明け方まで離さなかった結果、凛はお昼を過ぎてもこんこんと寝つづける。

俺はベッドで熟睡する凛を横目に、パソコンを開いていた。
休暇と言えど、メールのチェックくらいはやっておかないとならない。貯めすぎると休み明けに痛い目をみるのは明らかで、それが長期ともなると尚更だ。

大量のメールに、うんざりしたが、一通りのチェックを終えて、大きな問題は無かったとパソコンを閉じる。

少し気になったのが、朝倉からの連絡だ。

ベリが丘に寄港していたときにあったトラブルで、中森という男がロイヤルグリシーズの広告を破壊した件についてメールが来ていた。

初回の報告だ。

中森智行(なかもりともゆき)。五十五歳。仕事はしておらず、借金があり、息子が起業して借金返済を手伝っている……というところまでが書かれていた。

取り急ぎの報告なので、こんなところだろう。詳細はまとめていて、もう少しかかるそうだ。

会社への恨みか? 立場上、色んな人を敵に回したり恨まれたりもする。
過激な人は、家族や恋人にまで攻撃しようとするから、気をつけなければ。
凛に危害が及ばないように。

凛は、俺が、この船の責任者だと知ったらどんな顔をするだろう。

このまま、なにも知らないまま恋人として楽しみたくて、とりあえず伝えるのは後回しにしたが……。

凛の隣に寝転ぶと、耳朶を食んでいたずらをした。
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