あたしが好きになったのは新選組の素直になれない人でした



「…空蒼も結構言う事は言うんだね」

土方さんから視線を逸らしながら空蒼にそう言ってくる。
そこには先ほどの複雑な表情はもうなく、普通の藤堂さんに戻っていた。

「…事実なので」
 
表情を柔らかくしながらこれまたズバッと言う。
それを見た藤堂さんはぷぷっと笑い出した。

「ははは!空蒼って面白いんだね」

無邪気に笑いながらそういう藤堂さんに空蒼は首を傾げた。

(面白い?どこを見てそう思うの?)

藤堂さんの言葉にいまいち理解が出来ない空蒼。
新選組の人達は感情が豊なのだろうか。

「俺が居なくなった後、大丈夫だったか?」

話すのが好きなのか、次から次へと口を開いてくる藤堂さん。優しい顔でそう聞いてきた。
なんか普通に美少年が隣にいるではないか。
あたしの隣に座ってこうやって話をしていると、現代の男子高校生と何ら変わらない。現代でこんな人が居たらさぞかしモテるんだろう。

「まぁ…」

藤堂さんが居なくなった後、近藤さんが泣いたとかは流石に言えないので言葉を濁す。
泣いた近藤さんは正直言って面倒くさかったが、二人のいろんな一面が見れたのも事実なので良しとしよう。

「そうか良かった…正直俺あの場所に空蒼を置いていった事に後悔してたんだ。でも、土方さんについてそこまで物申せるなら何も心配はいらなかったね」
「……。」

そう言って嘘のない目でニコッと笑う藤堂さん。
そんな彼を見ていると、爪の皮でも剥いでやろうと思った自分が情けない。
どうしてそんなに他人の事を心配できるのか理解に苦しむが、そう言われて嫌な気分にならないのは確かだ。

(優しいんだな…藤堂さん)

「おーい!何を楽しそうに話してんだよ」

すると、空蒼と藤堂さんの間に勢いよく原田さんが割り込んできた。
空蒼は原田さんのスペースを開ける為、横ではなく後ろに少し下がる。

――ドンッ

(……?)

すると、背中に何か当たった。
後ろを振り返ると、機嫌の悪い土方さんがこちらを睨んでいた。

「お前、喧嘩でも売ってんのか?」

不機嫌MAXの土方さんに真顔で言い返した。

「…後ろにいるのが悪いのでは」

どうしてぶつかったくらいでこうも不機嫌さを露わにするんだろう。
変な事にいちいちイライラしてたら本当にいつか禿げるのではないだろうか。

「…お前今、俺に対して失礼な事を考えてないか?」

探るようにそう言ってきた土方さん。

(心を読むとか何様…いや、土方様か?)

「…そう言うのを自意識過剰って言うんですよ」
「……。」

空蒼の言葉に黙る土方さん。
もしかしたら、空蒼は口喧嘩に関しては土方さんより勝っているのではないだろうか。
こうも黙らせてしまうところを見ると、そう思わずにはいられない。



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