私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】
「アリエル。これはどういうことだ?」


 振り向くと、そこには意識のしっかりとしたフェリクスが立っていた。自分の両手を信じられないものを見るような目で見ている。

 それもそうだろう。
 彼の体は、なぜか半透明に透けているのだから。


「……フェリクス?」

「なんで俺……そこにいるんだ? 俺は……死んだのか?」


 フェリクスは横になっている自分と半透明の自分の体を交互に見ながら呟いた。
 ハッとしてもう一度胸に耳を当ててみると、トクットクッと心臓の音が聞こえてくる。



 よかった! 死んでない!



「生きてるわ!」

「生きてる? じゃあ……なんで……」

「フェリクス……これは一体……」


 その時、遠くからバタバタと足音が聞こえてきた。
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