私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】
そうは思っても、今ここにいる人達は誰も私のことを信用していないし聞く耳ももってくれない。
別の誰かに説明するためにも、今はおとなしく捕まったほうがいいのかもしれない。
私は背筋をピンと伸ばして立ち上がり、堂々とした態度で返事をした。
「はい。行きます。……ですが、私はフェリクス殿下を殺そうとしていません。それは否定し続けます」
「……いいでしょう。詳しいお話はあとで聞きましょう」
「アリエル!!」
フェリクスが私を呼んでいるけれど、振り向いたり返事をすることができない。
誰にも見えないフェリクスに対してそんなことをしたなら、私は頭がおかしくなったと認定されてしまうからだ。
無視するのを心苦しく思いながら、私はフェリクスを見ないまま歩き出した。