私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました

「だから私がさっき提案してきたのよ。私の代わりに、アリエルを送ってはどうかって」

「なんですって!?」

「殺人未遂を犯したアリエルとフェリクスを結婚させるわけにはいかないし、かといって証拠不十分なのに公爵令嬢を罰することもできない。だったら、隣国に嫁がせて私がフェリクスの婚約者になればいいって。みんな賛同してくれたわ。きっと今頃は陛下にもお話がいってる頃ね」



 そんな……!
 このままじゃ私、隣国に嫁がされてしまうの!?



「ふざけないで! 勝手に話を進めないでよ!」

「あら。私は軽く提案してきただけよ。話を進めているのは私じゃないわ」

「……っ」



 ドロテの本性がこんな人だったなんて……!
 もっと早く気づいていたら!



 私がうつむいて歯を食いしばっている間に、ドロテは出て行ってしまった。

 先ほどの執事や騎士達の態度を見る限り、きっと誰もドロテのことを疑っている様子はないのだろう。
 アランは私を信じていると言ってくれたが、まだ新人の彼にはほぼ発言権などないはずだ。



 このままじゃ本当に私……。
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