私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました

「嫁ぐことになると思うわ。誰も止められないもの」

「俺なら止められる」

「えっ? でも、あなたは……」

「俺の意識が戻れば、アリエルの誤解は解けるし婚約も破棄させない」

「戻ればって、その方法がわかるの?」


 私の質問に、フェリクスは気まずそうに視線を外した。
 言いにくそうに目を泳がせたあと、ボソボソと話し出す。


「ここに未練があるからこうなった──って書いてあったよな? その未練がなくなれば、元に戻れるかもしれない」

「その未練ってなんなの?」

「…………」

「ん? 何?」

「…………たぶんアリエルのことだと思う」

「私?」
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