君の好きな人になりたかっただけ
先生と生徒じゃなかったら
もしも、もっと早くこの世に生まれてきていたら…。



夏目(なつめ)先生ー!おはようございまーす!」



廊下の向こう側から歩いてくる、黒のスーツを着た塩顔サラストイケメンに突進する勢いで駆け寄っていく。



「おはようございます。工藤(くどう)さん、朝から元気なのはよいことですが、廊下は走らないように」


「あ、ちょ…っ!」



それじゃあ、とそのまま非常勤室に入って行こうとする夏目先生を慌てて引き止める。



「今日、お昼!一緒に食べましょう!」


「…僕なんかと食べても、楽しくありませんよ。クラスの子と食べた方が…」


「そんなことありません!私は夏目先生と一緒に食べたいんです!お昼、またここに来ますから!」



断る隙を与えないように一方的に伝え、先生に背を向けて教室に走って戻る。
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