君はビターチョコのように

バレンタイン当日!

そして、あっというまに一週間が過ぎた。
今日はバレンタイン!
今、朔夜先輩との待ち合わせ中です!
今日は休日だから、先輩が私服で来るはず!
たまに、制服で来るときもあるから、私服かどっちなのかが、休日のデート、最初の楽しみなんだ。
先輩、どっちで来るかな?私服、制服?
私服で来るなら、どんな服着て来るんだろう?
やっぱり、色は青かな?黒?帽子も被って、ネックレスとピアスしてデニムメインかな?
それとも、
「おはよう、日菜」
「ひゃ!」
朔夜先輩、来たー!
あっ、今日は私服だ!
帽子被って、ネックレスとピアスしてる!
青のロングコートの中に黒のシャツを着ていた。
まさに、想像してたコーデのひとつだった。
「寒く無いですか?」
「これくらいで、丁度良いんだよ」
「今日もカッコいいです!」
「それより、変な声出しやがって。何考えてたんだ」
えっと、
「朔夜先輩の事です」
すると、朔夜先輩は、「驚いたじゃねえか」と呟き、私の手を取って歩き出す。
「先輩?」
そして、朔夜先輩は前を向いたまま言った。
「そのまま、ずっと、俺の事だけ見てれば」
朔夜先輩...。
「はい!」
返事したけど、無反応だったので、私は立ち止まった。
「日菜?」
ここは私の勇気の見せ所だと思う。
ずっと出来なかったアレをするとき。
もう、やるしか無い。
「先輩」
私は頑張って先輩の耳元まで背伸びをした。
「朔夜先輩もずっと、私の事だけ、見てください。
いつも、朔夜さんの事、思ってます」
クスッと先輩は笑った。
「日菜」
「はい」
「やっと、先輩から呼び方変わったな。でも...」
次は先輩が私の頭をぽんぽんと撫でて言った。
「いっそ、呼び捨てでもいいんだぜ」
「朔夜」
あっ、反射的に飛び出してしまった。
そして、先輩は固まってしまった。
「私には、ハードル高いです!
今の聞かなかった事にしてください!」
「嫌だ。絶対、忘れないし、俺に対して敬語、話せなくしてやる!」
「敬語外すのもハードル高いです!」
こうして、勝負のバレンタインデートは幕を開けた。
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