狂愛〜虎を照らす月〜
16〜岳side〜
深月を連れて歩いた次の日には、さっそく勝己から連絡がきて、準備が整った。


深月が通っている歯医者は、うちの息がかかってる歯医者だ。


というか、組員は家族も含めて、だいたいそういう病院しかいかない。



「岳!私今日、歯医者なの?」

ああ。繁に聞いたのか。


「ああ。言ってなかったか?」


「聞いてないよ!クリーニングはまだ先だよ?」


「今日はクリーニングじゃない。」


「え?虫歯もないよ?ほら!」

そう言って深月は、ネクタイを結ぶ俺の横であーと大きく口を開けた。


俺はそのままガブっと噛み付いてやる。


「んーー!!」


暴れてる暴れてる。
クククク。


そして、俺もあーと口の中を見せた。

「何やってんの?」

とか言われる。
おい。


「これ。」

左下の1番奥の詰め物を指差す。

「それがどうしたの?」


「お前もお揃いで詰めてこい」


「お揃いで?そんなとこお揃いじゃなくてよくない?」

そりゃ、ごもっともだ。
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