狂愛〜虎を照らす月〜
それは、仕置き後に見せた顔に、よく似ていた。


でも、そこに不安という感情も見てとれた。

そう。
岳は、とても不安そうだった。


だから岳にも安心して欲しくて、身体を確認して。なんて言って、、、。


でも本当は、私が安心したかったのかもしれない。

岳の温もりを感じて、帰って来たと岳を身体に刻みたかった。

岳をこの身体で感じたかった。



そんな私を知ってか知らずか、もっともっとと欲張る私に、精一杯の愛を注いでくれる岳に、甘えてしまう。

満足するまで、何度も何度も。

岳を目の前にすると、どうしても自分を抑えられない。


岳だけが、私に安心をくれる。

岳だけが、私を幸せに導く。



岳が私を大きな愛で包むから。

だから私は、私で、いられる。


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