桜姫は花と共に散る
自分の気持ちって言葉にしないと伝わらないんだな……。あの子にお礼、言わなきゃ。



「説明は以上です。なにか質問はありますか?」



……え?今、入学式までの流れの説明してたのか、?



まずい、何も聞いてなかった。



その事実がわかると頭が真っ白になる。



「何もなければ時間まで自由時間とします」



先生の言葉を最後に教室はクラスメイトの声がざわざわしだす。



「なぁなぁ」



ふと声をかけられ視線を頭上の方に向けると1人の男子生徒が立っていた。



目の前の人物を観察してみる。ミルクティー色の髪を緩く巻いて整えており、切れ長の目に二重線がまつ毛に重なることなく、エメラルドグリーンの色をした瞳は僕の目を惹き付けた。肌も綺麗で毛穴ひとつ見当たらないし、鼻筋もスっと通ってて高い。右耳にはピアスが開いているようで、黒のリングピアスがつけられていた。


この人…イケメンだ。



「お前すげーな」



え?



何がすごいのだろうか。ただ自分の本音を少し話しただけだ。



「いや…何もすごいことしてないですよ?」



「敬語寄せよ、同じクラスなんだし」
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