愛のない一夜からはじまる御曹司の切愛

愛のない夢のような一夜

　眩いばかりのシャンデリアが輝く、天井の高い大きな広間。フロアの真ん中にはコックコートに身を包んだ数人シェフが腕をふるい、その前には美しい料理の数々。

　その中にいる、様々な鮮やかな色のドレスを纏った美しい女性や、正装の男性たちがキラキラと輝いて見える。各々に歓談しつつ、料理やアルコールに舌つづみを打つ大人のパーティーだ。
　
　それが世界的大企業であるMATUMAEグループの新事業発表会。それに招待された人たちだ。
　都内で有数の格調高いベリが丘タウンにある高級ホテルのパーティー会場。その中で私はかなり緊張してこの場に立っていた。

「そんな緊張するなよ。咲良」

「そんなこと言ったって……」