パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない!~内緒の赤ちゃんごと、独占欲全開で娶られました~
 淡々と業務命令のような話し方だった。そこでようやく彼が私と寝た理由が分かった気がした。

 誰とでも遊ぶ女で、元樹を騙しているとでも思っていたのだろう。確かにお金やステイタス目当てで彼に近づく女の子は多い。元樹に見合い話があり、元樹のために私の誘いに乗ったのだ。元樹のそばから離すために。

 今にも嗚咽が漏れそうになるのを、何とか耐える。ここで声を上げてしまえば起きていることを知られてしまう。

 今、ここで彼に直接何かを言われてしまえば、きっと立ち直れる気がしなかった。


 そのまま、私はただ目を閉じて彼に背を向けていた。そして隣から寝息が聞こえてきたと同時にベッドを出て散らばった服をかき集める。
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