君に、振り向いてほしいから
もう一度あがった歓声を聞き、やっぱり波は凄いと思った。

Luciferは百人ぐらいいるのに、それだけの人数をまとめ上げている。

時々、凪のほうが総長に相応しいんじゃないか、なんて言われるけど、僕はそんなふうに思ったことは一回もない。

今のLuciferは波が総長をしているから成り立っているもので、僕なんかが総長になったらすぐに崩れる。

十分後、人が去ってがらりとした集会所を見渡し、波がぽつりと呟いた。

「ほんとに、Luciferは大きくなったな」

「……そうだね。最初は、僕と波、海ぐらいだったのに」

「そうだな。あいつ、俺がグループつくりたいって言った瞬間入るって言ったもんな」

波が小さく微笑む。

当の本人は、波の指示で瑠花ちゃんたちを部屋に送っている。

海……。今思えば、海がいなかったらLuciferはできなかったかもしれない。

悩んでる波の背中を押したのは海だし。

『うん、波ならできるよ。俺が言ってるんだからできる。俺もお前を支えるからさっ』

あの時の海の屈託のない笑顔を思い出す。

「お〜い、波、凪!俺の部屋で瑠花ちゃんたちと飯食べよ?瑠花ちゃんが鍋作ってくれるんだって」

海がドアから顔を覗かせ、あの時と同じように微笑んだ。

「分かった。今行く」

波が小さく微笑み、ドアに向かって駆け出す。

今はただ、みんなと一緒にご飯食べよう。そして、瑠水ちゃんの無事を願おう。

波について走りながら、僕はそんなことを思った。
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