君に、振り向いてほしいから
空橋先輩が、私を軽々と持ち上げた。

「ひゃっ」

これ……。お姫様抱っこ?

どうして?

璃空にいが呆気にとられたような表情をした。

「大人しくしといてね」

耳元で小さく囁かれた。

私は抵抗するのを諦めて、大人しく抱きかかえられる。

空橋先輩は満足そうな表情をすると、私を抱えたままどこかへ歩き出した。おそらくは会議室。

階段をのぼり、さっき私たちが……盗み聞きしていた部屋へと入った。

ここが、会議室?

空橋先輩は私をおろすと、部屋の奥にある扉を開けようとした。

「ああ、輝夜。瑠水ちゃん、地下室じゃなくて会議室(ここ)で良いんじゃないかな」

「分かった」

kingは私を見つめ、優しく微笑んだ。

……どうして?

kingは私の疑問に答えるように、優しく微笑んだ。

「琥珀さんが地下室には入れないでほしいって頼んできたんだよ。愛されてるね、瑠水ちゃん」

いや……。

琥珀さんが私を地下室にいれないでほしいって言ったのは、私がアクアだからで……。

考えていると、不意に外が騒がしくなった。
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