君に、振り向いてほしいから
「何?」

「king、俺が見てくる。待っといて」

空橋先輩が扉を開け、部屋を出ていった。

何だろう……?奇襲かなにか?

しばらくして、空橋先輩が慌てた様子で戻ってきた。

「Luciferの奇襲だ。瑠水、king。君たちはここにいて」

彼はそれだけ言うと、また部屋を出ていった。

Lucifer?瑠花たちかな?

瑠花がいるなら、奇襲なんて卑怯な真似はしないと思うけれど……。

どうして、奇襲なんか?

何か、きっかけがあるはず……。誰かが入った、とか。

そこまで考えたとき、柊くんの顔が頭に浮かんだ。

柊くんだな、多分。

扉が開き、私は凪先輩に抱きかかえられた。

「おい、はなせよ」

「あはっ、悪いね、聖夜!瑠水ちゃんは貰ってくよ」

そう楽しそうに笑った凪先輩の後ろから、空橋先輩が飛びかかる。

その手には金属バット。

危ない!

考えるよりも先に、体が動いていた。

凪先輩の腕から飛び降り、空橋先輩の首に蹴りをいれる。

凪先輩は驚いたように私を見つめた。

……やばっ、心臓、痛い……。

微笑もうと思ったけど、痛くてできない。

「瑠水ちゃん……?」

「あはっ、びっくり、しました?」

頑張って凪先輩に微笑みかけたところで、体が傾いた。

凪先輩が私を受け止めてくれたみたいだけど、私の意識はそこで途切れた。
< 24 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop