君に、振り向いてほしいから

nightという暴走族   side◼◼◼

僕は、家族が嫌いだ。

兄の輝夜は武道に長けていて、昔からいくつも賞を取っていた。

対する僕は勉強ができるだけで、武道ができるわけでもない。

スポーツが好きなわけでもないし、好きになろうとしたこともない。

スポーツ好きな両親は兄ばかりを可愛がった。

だから、はやくこんな家から出ていきたくて、全寮制の学校を目指した。

輝夜はスポーツ推薦で県外に行くから、家には帰ってこない。

輝夜がいなくなっても、両親は僕を可愛がってはくれなかった。

「ほんとに、どうして聖夜(せいや)はそうなのかしら」

「お兄ちゃんみたいにスポーツをしてみたら?」

「お前、ほんとにうちの子どもか?」

今日も、両親は僕を睨みつけた。

うるさい、うるさいうるさい……!

耳をふさぎ、リビングの扉をあける。

すると、その手を母さんに叩かれた。

「何よ、その態度は!いい加減にしなさい!」

いい加減にしてほしいのはこっちの方だ。

毎日毎日僕を非難して、何が楽しいんだろう。

僕は母さんを睨みつけ、自分の部屋に入った。

机の上にあるパソコンの電源を入れ、音楽を聴く。

今の僕の気分にぴったりの曲が流れてくる。

「自分一人が良いって何回思っただろう……」

その歌詞を聴きながら、ぽつりと呟く。
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