ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!

3.ストーカーか、こいつ。

「まいさん」

またお越しくださいませ、と言って一礼し顔を上げた私の目の前に、学生服姿の大地が立っていた。

人懐っこく笑って首を傾け、ポケットに両手を突っ込んでいる格好は、本当に、どこにでもいる男子高校生と同じだった。

むしろ、普段そこら辺を歩いている子達よりも、ずっと素直で汚れを知らない表情に見えた。

───昨晩、私の部屋を立ち去る際、ドアの陰から顔だけのぞかせた大地は、
「僕が必要になったら、遠慮しないで、呼んでくれていいからね?」
などと、にっこり笑ってみせたのだった……。

私と……実の姉と、悪びれもせずにエッチしてた子と同一人物だなんて、とても思えない。

「仕事上がり、今日早いよね? 一緒に帰ろうよ。僕、待ってるからさ。
んーと、二階の本屋さんで、待ち合わせしよ?」
「………………分かった」
「やった! じゃ、またあとでね! お仕事、頑張って」

片手を上げて去って行く大地を見送っていると、製造室から多香ちゃんが出て来た。

「わ~。いまの、ひょっとしてカレシですか?
高校生……ですよね!? 舞さん、やりますね!」
「えっ……や、あのさ……」
「すっごいサワヤカ君でしたね! 美形だし。
笑顔が、なんともいえない爽やかな風を残していきましたよ?
もうっ、舞さんってばいつの間に!?」

制服のブラウスの袖を揺さぶられて、冷やかされる。が、私には、肯定も否定もできなかった。
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