ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
血を吐くような、苦しげなうめきだった。大地の心痛を思うと、言葉が見つからなかった。

だけど私は、あえて口を開いた。

「大地……それとこれとは、違うんじゃない?
父さんは……まぁ確かに抜けててアレだけど。でも、大地のお母さんのこと、好きだったと思うし……」
「好きなら、(ゆる)されてしまうの?」
「いや、赦す赦さないの問題じゃなくて……。
あー、もうっ。とにかく、話は別だよ。少なくとも父さん達は、血は繋がってないでしょ?」
「違わない。同じだよ。どっちも、社会的にも倫理的にもタブーだっていうのが、社会通念だもの。赦されない、ことなんだ。
その結果として僕がいるのに……そういう理由で僕を拒むのは、僕の存在自体を拒絶してるのと、同じだよ。
だったら、僕を……僕自身を嫌いだって、言ってよ。姉弟だからダメだなんて言わないで、僕のことが好みじゃないからイヤなんだって……そう、言ってよ……!!」
「大地……」

さっきの痛々しい表情(かお)をした大地を抱きしめて、今の大地を受け入れてあげないのは矛盾しているのだろうか。

あの抱擁(ほうよう)は、ただの同情で、ほどこしだって。
だから、身体を求められても……愛情を求められても困るって、そう言えば、良いの? ───本当に?

子供っぽいのに、妙に大人で。甘えた口調のわりに、言っていることは、嫌になるほど正論で。
いつも楽しそうに笑っているのに、底知れぬ……何か、暗いものを抱えている。
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