一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。
確かに入学したての頃はほぼ付きっきりで教えて貰っていたし、二年になってからも本当に感謝の言葉しか浮かばないほどお世話になった。
特に部長は、あの頃部員とうまくいってなかった私に、弓道部としての技術と部をまとめる者としての心意気、いや真髄?を教えてもらった。
懐かしいな。
「なんか思い出に浸ってるし……あ、そういえば卒業式は生徒会が先導してやるんだっけ。すごく楽しみだね」
「……まあ、」
「なんでそんなに歯切れ悪いのさ?」
「えーとね、実は……」
我が高校の生徒会には、ある言い伝えられている噂がある。
ーーー卒業式、それは悪夢の始まりだーーと。
隣でごくりと喉を鳴らす咲菜をちらりと見てから、話を続ける。
卒業式とは本来、卒業する三年生を送るためのものだ。
しかし我が華清高校には、それとは別に行われるものがあるらしく。