100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
歩き出した足を止め、搭乗口の方へ視線を向けた彼が一拍置いてから答える。
「処罰を決めるのは俺ではなく、上層部だからな……」
苦い思いを抱えていそうな低い声。
彼自身は処罰を望んでいないように聞こえ、緑沢への同情を感じた。
(怒ってもいいはずなのに)
和葉は怒りを感じており、できればもう同じ空港で働きたくない。
この桃園便が危うく和葉のせいで遅延しそうになったのだから当然だろう。
他のCAたちも緑沢に同情的な視線を向けていたのを思い出し、疑問を深めた。
しかし考え込んでいる暇はなく、外に出て離陸前の通常業務に戻る。
五十分ほどして、搭乗橋を切り離した機体が特殊車両によりプッシュバックされてゆっくりと動き出した。
見送りのため他の整備士やグランドハンドリングのスタッフと一緒に整列すると、機首の窓からコックピット内が見えた。
五十嵐と視線が合った気がするが、遠目なので自信はない。
(どうして怒らないんですか?)
彼は今夜、台湾で一泊するので、その問いを投げかけられるのはしばらくあとになるだろう。
誘導路に向かう機体に手を振りフライトの安全を願いつつ、モヤモヤとした思いも抱えていた。
ドライバー事件から十日ほどが過ぎた週末。
世間では休日でも、航空業界は通常営業だ。
朝六時、起床したばかりの和葉はパジャマの上に青いカーディガンを羽織って急いで自室を出た。
(五十嵐さん、まだいる?)
「処罰を決めるのは俺ではなく、上層部だからな……」
苦い思いを抱えていそうな低い声。
彼自身は処罰を望んでいないように聞こえ、緑沢への同情を感じた。
(怒ってもいいはずなのに)
和葉は怒りを感じており、できればもう同じ空港で働きたくない。
この桃園便が危うく和葉のせいで遅延しそうになったのだから当然だろう。
他のCAたちも緑沢に同情的な視線を向けていたのを思い出し、疑問を深めた。
しかし考え込んでいる暇はなく、外に出て離陸前の通常業務に戻る。
五十分ほどして、搭乗橋を切り離した機体が特殊車両によりプッシュバックされてゆっくりと動き出した。
見送りのため他の整備士やグランドハンドリングのスタッフと一緒に整列すると、機首の窓からコックピット内が見えた。
五十嵐と視線が合った気がするが、遠目なので自信はない。
(どうして怒らないんですか?)
彼は今夜、台湾で一泊するので、その問いを投げかけられるのはしばらくあとになるだろう。
誘導路に向かう機体に手を振りフライトの安全を願いつつ、モヤモヤとした思いも抱えていた。
ドライバー事件から十日ほどが過ぎた週末。
世間では休日でも、航空業界は通常営業だ。
朝六時、起床したばかりの和葉はパジャマの上に青いカーディガンを羽織って急いで自室を出た。
(五十嵐さん、まだいる?)