100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
遠慮なく腰を引き寄せられ、拳三つ分の距離まで顔を近づけられた。
自信のありそうな笑みを口元に浮かべた彼は、意地悪で艶っぽい表情をしている。
普段は清涼感のある切れ長の目が色気をにじませて細められた。
(エ、エマージェンシー)
「正直に言えば? 俺に惚れたと」
からかわれているとわかっていても、魅惑的な声で誘うように問われると頷きそうになる。
彼が作り出す甘い雰囲気に飲まれ、近づく距離に合わせて目を閉じかけた。
(爽やかでいい匂いがする。拒まないといけないのに、なにも考えたくない)
もうどうにでもなれという気持ちで、唇が触れ合うのを期待した時――。
彼のジャケットのポケットで携帯が鳴り、すぐに切れた。
「到着の知らせだ」
パイロットはタクシー通勤で、到着時にワンコールするよう運転手に頼んでいたらしい。
甘い雰囲気が一瞬で壊れ、ハッと我に返った和葉は飛びのくように離れた。
全力疾走したかのように呼吸が乱れている。
「は、反則です! そんな攻撃、誰だってドキドキしてうっかりその気になります。しかもその顔だもの。鏡見たことないんですか? 悪魔的にかっこいいと自覚してください」
「褒め言葉か?」
クッと意地悪そうに笑われて悔しくなる。
「苦情です」
「俺の容姿がお前の好みに合うのはわかった。あとは早く中身にも惚れてくれ」
「そう思うのでしたら、私に迫って遊ぶのやめてくれますか」
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