100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「遊んでいるつもりはないが、お前といると楽しいのはたしかだ。ひとり暮らしよりずっといい」
最後は優しげに微笑んで、彼がリビングを出ていった。
思わせぶりな言い方に喜ぶまいとしても鼓動が弾む。
玄関ドアが開閉する音がしてシンと静かになり、やっと動悸を沈めた和葉はソファに深く腰を沈めた。
(心の中が乱気流。恋って結構ハード。私って恋愛に不向きな人間だ)
意地っ張りの負けず嫌いは子供の頃からの性格だ。
自分から好きだと言う気はないし、恋心に気づかれないようにするのが疲れる。
それでも彼と一緒にいたいと思い、早起きすればもう少し話せたのにと寂しい気分になっていた。

早番で出勤し、午前中の二機目の整備を終えて出発する機体を見送った後、チームリーダーの指示を浅見から伝えられた。
「金城は十五分休憩に入れって」
昼休み以外にも一時間の休憩を取る決まりなのだが、担当便の合間を縫って入らなければならないのでどうしても細切れになってしまう。
「わかりました」
格納庫の端にある、整備士の休憩室へ行く。
中はベンチが四つと丸テーブルが三つ、自動販売機にウォーターサーバー、小型冷蔵庫と電子レンジ、ポットがある。
ここで弁当を食べる人もいるが、今は昼休みには早い。
和葉と同じように小休憩に入った整備士四人が、飲み物を片手に携帯をいじっていた。
(十五分って水分摂取以外やることがなくて暇だ)
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