100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
どうやって返そうかと焦っていたら他のCAがこちらに向かってきたので、慌てるあまりにストウェッジに隠してしまったという。
運航を遅らせ、それを和葉のせいにしようなどとは微塵も考えていなかったそうだ。
「そうだったんですか」
自分では憧れてもらえるような人間だと思っていないが、そう見えたのなら嬉しく、緑沢にされたことへの怒りは完全になくなった。
代わりに辞めないでほしいという思いが強まる。
(一生に一度の恋より仕事が大事だったのでしょう? どうして自分から辞めようとするの?)
「美玲さん、緑沢さんを止めてください」
「そうしたいけど――」
緑沢が辞める理由は、自分が怖いからだという。
自分の意思とは関係なくドライバーを盗ってしまったのだから、二度とやらないと約束できないそうだ。
二度と同じような事件を起こしたくないから辞表を出したらしい。
「だったら、地上職への異動を希望すれば――」
「五十嵐さんもそう言っていたわ。辞めると言った彼女を説得しようとしていたのよ。責任を感じているみたい」
ことの発端が四年前にあるからだろう。
しかし当時は一方的に好意を寄せられ、彼は女の争いに巻き込まれただけである。
責任を感じなくていいのにと和葉は思い、それは美玲も同じようだ。
「真面目なイケメンって大変ね」
「私もそう思いました」
深刻な話をしていたのに、ふたりで顔を見合わせて吹き出した。
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