100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
ひとしきり笑ってから、美玲が嘆息して話を戻す。
「地上職を勧められて緑沢さんはこう言ったのよ。『空を飛ぶのが好きでCAになったんです。地上に降りるなら辞めます』。それを聞いて五十嵐さんは黙って頷いていた。私も止めるのはやめようと思ったの」
(緑沢さんの気持ちがやっとわかった)
彼女の飛ぶことへの想いは、和葉が機体に向けている愛情と同じだ。
和葉も航空機に触れられない部署への配置転換を命じられたら辞めたくなりそうだ。
「私も緑沢さんの気持ちを尊重します」
「ありがとう。許すことのできる金城さんは懐が広いわね。私、あなたの仕事への向き合い方が好きよ。素晴らしい整備士だと感じているわ」
「そんな、私なんてまだまだです。最年少チーフパーサーの美玲さんの方がずっとすごいです」
謙遜ではなく心からそう思う。
航空整備士として努力してきたけれど、同期と比べて抜きん出ているわけじゃない。
特別に優秀なのは間違いなく美玲の方だが、なぜか自己評価は低いようだ。
「今回の件で未熟さを痛感したの」と、遠くを見るような目で言う。
「私は仲間であるクルーを信じようとしたけど、五十嵐さんはこんなことをする者はクルーの資格がないと言った。それが胸に刺さっている。一番大切なのは安全なフライトなのに、そこを間違えるなんて。反省したわ。振り返ってみると仲間を守ろうとしたのも自己保身かもしれない」
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