100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
可愛いと言ってくれる男子生徒がいて姉としても喜ばしいが、きっと明るく無邪気な性格への評価だろう。
(顔は平凡のど真ん中だと教えるべき? 傷つけるのはよくないか。自分で気づくまでそっとしておこう)
「卒業後の進路は決めたの?」
「勉強したくないから就職する」
「上京するなら相談にのるよ」
「行かないよ。彼氏候補のひとりがお弁当屋の子で、卒業したらうちの店で一緒に働かないかと言われてるの。もうひとりはこっちの専門学校に行くって言うし、どっちを選んでも地元にいたい。結婚して子育てするのも実家が近い方が絶対いいと思う」
顔が似ていても、こういう面で性格の違いがわかる。
夢を追って仕事一筋の和葉と違い、美月は恋愛や結婚、子育てに重きをおいているようだ。
(結婚後の人生設計まで考えているなんて。八つも年下の美月に追い抜かされた気分。私はもうすぐひとり暮らしに戻って、そこから先は恋愛と無縁の人生を送るんだろう。ずっと独身だな)
長年恋愛に興味を持たずに生きてきた和葉が今、恋をしているのは奇跡的な気がする。
だから彼と別れた後は、一生恋愛できないと確信していた。
(仕事さえ充実していれば幸せだと思っていたけど、少し寂しいかも……)
墓参をすませて実家に戻ったのは一時間後だ。
玄関を開けるとやけに静かで妹と顔を見合わせた。
さっきまで散らかっていた大家族の人数分のサンダルやスニーカーもない。
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