100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
(温まる。寒いほどラーメンが美味しく感じる。明日もこれにしよう)
食堂内は作業着姿の男性ばかりが三十人ほど休憩中だ。
汁まで完食した和葉が鼻をかんでいると、視界の端にCAの制服が映った。
場違いにエレガントな雰囲気をまとって入ってきたのは美玲だった。
他の整備士たちもすぐに気づいて不思議そうに見つめる中、美玲は食券販売機前を素通りして誰かを探している。
目が合うとニッコリと微笑みかけられ、つられて笑みを返す。
「私もお昼休みに入ったの」
「そうなんですか」
なんのためらいもなく隣に座った美玲が、お洒落な紙容器のランチボックスをテーブルに置いた。
箱には第二ターミナル内にあるカフェの店名が書かれていた。
(小さい。その量で足りるんだ。いや、それよりもどうしてここで食べるの?)
自社の職員なら誰でも利用できる食堂ではあるけれど、CAのオフィスがあるマネジメントセンターからは遠く、利用客のほぼ百パーセントが整備士である。
以前、美玲が和葉を捜して格納庫の休憩室に来た際は、場違いなのを気にしてか、オドオドした様子だった。
今はその時以上に整備士たちの視線を集めているというのに、迷いのない顔をしているのも不思議だ。
注目に和葉の方が耐えられず、ランチボックスを開けようとしている彼女を止める。
「あの、もし話があるのなら移動しませんか? 私は食べ終えたので」
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