100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
(一度、関空に降りている。急病人でも出たの? 再出発後、嵐で羽田に着陸できず、夜遅くに中部国際空港にダイバード。こんな事態に遭っていたなんて……)
昨夜の和葉は布団に入っても一睡もできず、朝を迎えた。
美玲の誘いに応じてふたりで飲みにいき、一夜をともにした以外、帰宅しない理由を思いつけなかった。
百日の期限が近づいても和葉が一向に恋心を認めないから愛想をつかされたと思い、後悔や嫉妬、悲しみや喪失感で枕を濡らした。
そのあとは縋りつきたくなる気持ちと闘い、美玲を選んだのなら祝福してあげなければと自分に言い聞かせた。
そして夜が明け、布団から出なければいけない時間になった時に、やっとふたりの恋を応援する覚悟ができたというのに、すべてが杞憂だったとは。
力が抜けて崩れそうになり、デスクに両手をついて持ちこたえる。
(美玲さんも誘えなかったんだ。よかった……)
心底ホッとして軽くなった胸に、ムクムクと怒りが湧く。
(なんのためにあんなに苦しんだんだろう)
ダイバードなら連絡してよと、彼の無精を責めてしまう。
鼻のつけ根に思いきり皺を寄せると、浅見が横にきた。
「おはよう。昨夜は欠航が相次いだらしいな。今日のフライトに機材変更が――その顔、どうした?」
沖縄の魔よけの獅子、シーサーが威嚇しているような顔に驚いているのかと思ったが、浅見の視線は和葉の目の下に留まっている。
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