100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「単にお腹が空かなかっただけです。四六時中、五十嵐さんのことを考えていると思わないでください」
「へぇ、そうか」
向かい合って座ると、彼がビールを注いでくれた。
うまくごまかせたと思ったのに、胸元を指さされる。
「ボタンを掛け違えているぞ。早く帰りたくて気が急いていたわけではないんだよな?」
「あっ」
慌てて青いカーディガンのボタンを留め直していると、軽く睨まれた。
「仕事は集中していたんだろうな」
「当然です。でも五十嵐さんのせいで上の空になりそうでした。あそこまで言ってお預けなんて、ひどい」
鼓動が速度を上げていく。
ビールをグイッと半分ほど飲んで勢いをつけ、鍋の湯気越しに真正面から彼を見つめた。
「私は言いましたよ。惚れてしまったって。五十嵐さんも言葉にしてください」
無言で視線を絡ませ、緊張してその瞬間を待つ。
今度こそと期待を高まらせているというのに、フッと笑われただけだった。
取り皿にエビやつくねをひょいひょいと入れられる。
「食べろ」
「お預け続行!?」
「話は食べながらな。煮えすぎると不味くなる」
渋々つくねを口に入れると、熱々の美味しさに目が輝いた。
我ながら単純だと思うが、ひと口食べれば箸が止まらなくなり笑われてしまった。
「昨夜は連絡せずにいて悪かった。堂島さんとの勝負を知らなかったから、お前ならこちらの事情を推測できると思ったんだ」
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