100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
大声で拒否したその時、後ろから伸ばされた誰かの手にサッと携帯を奪われた。
驚いて振り向いた和葉の目が、さらに丸くなる。
ラフなTシャツ姿でもファッション雑誌から飛び出してきたようにかっこいい五十嵐が、険しい顔をして立っていたからだ。
つい先ほど、満席だからと入店を断られていた客は彼だったらしい。
「どうして五十嵐さんがここにいるんですか!?」
国際線に乗務した彼はホノルルで一泊しているはずで、復路便を操縦して戻るのは明日の予定である。
「飲みにきたら悪いのか?」
なぜ驚かれるのかわからない様子の彼は、軽く言い返してから湯崎に鋭い目を向けた。
「嫌がる相手の連絡先を聞き出そうとするな」
「誰だよ。話に入ってくるな。和葉さんは照れているだけで嫌がっていない」
負けじと言い返した湯崎だが、自分より長身で力もありそうな五十嵐にたじろいでいるのは隠せない。
湯崎の言い分が合っているのかと言いたげな目で見られ、和葉は慌てて首を横に振った。
「少しも照れていません。連絡先を教えたくありませんし、勝手に出かける約束をされても困ります」
先ほどまでは怖くて言えなかったが、今は味方を得た気分できっぱりと断ることができた。
逃げるように椅子を立って五十嵐の横に並び、さらに非難する。
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