100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
(本当は私が好きなの……?)
一瞬にして耳まで熱くなり、勝手な推測に焦って否定の言葉を並べる。
(自意識過剰。美人なCAさんならわかるけど、私のどこを好きになるというの? しかも出会ってひと月足らずなのに。きっと女性整備士が珍しいから気になるだけ。元から庇護欲や正義感が強いのかもしれないし、自分が助けなかった結果、私がストーカーに危害を加えられたら夢見が悪いせいかもしれない)
恋愛感情は少しもないと心に言い聞かせ、なんとか動揺を鎮めようとしている間、五十嵐は考え込んでいるような顔をしていた。
「地道に否定していくしかないか……」
独り言のように呟いた彼を見ると、冷静な視線を返されて我に返る。
(私ひとり舞い上がって、恥ずかしい)
軽く咳払いをして真面目な顔をし、本題に戻る。
「噂について聞いてきたCAさんに、婚約していないと言ったんですか?」
「ああ。だが、噂を聞いたのは彼女だけではないだろう。どこまで広がっているのか見当がつかない。火消しに時間がかかりそうだ」
和葉には完全鎮火が不可能な気がした。
モテすぎる副操縦士の恋愛事情を知りたい人は結構いそうで、消すより燃え広がるスピードの方がはるかに速そうだ。
(安易に捉えていたけど、思ったより大事なのかも)
芽生えた不安に顔を曇らせると、頭に大きな手がのった。
優しげに微笑んだ彼に鼓動が跳ねる。
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