100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
メイク直しや身だしなみのチェックに人が集まる場所なので、声をかけられやすくて困る。
五十嵐には嫌味くらいスルーできると豪語したが、これまでのような陰口ではなく面と向かって非難されるようになり、今は身構えてドアを開けなければならなかった。
あからさまに敵意をぶつけてくるのはCAの嶺谷で、二週間ほど前の会話を思い出す。
『五十嵐さんにあなたが選ばれた理由がまったくわからないの。どうやって取り入ったのか、教えてくれる?』
五十嵐が四年ぶりに羽田に戻ってきたばかりの頃、CAたちがはしゃいだ雰囲気で彼の話をよくしていた。
その中心にいたのが嶺谷だったので嫌な予感はしていたが、やはりと言うべきか、和葉が婚約者だと知って詰め寄らずにいられなかったらしい。
『取り入っていません。好みは人それぞれ、ということだと思います』
『女性の趣味が悪いという理由なら残念だわ。でも、思い込みという線もあるかもよ。整備士という職業は男性のイメージが強いから、若い女性が作業着にヘルメット姿で働いていたら目を引くもの。ギャップ萌えっていうのかな。全然可愛くないのにそう見えるんだから得よね』
『私は別に、どんな格好をしていても可愛く見えないです』
『あら、自分をよく知っているのね。それなら分不相応なのもわかるでしょ。身を引いたら?』
< 70 / 243 >

この作品をシェア

pagetop