100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「五十嵐さんにも、なにもされていないか?」
一瞬、なんのことかわからず間抜けな顔をしてしまったが、迫られていないかという意味だと気づいた途端、顔に熱が集中した。
「ないです、ないです」
同棲を開始した翌日の夜、突然抱きしめられて動揺したが、触れられたのはあの時だけだ。
和葉が勝手に赤面した時ならたくさんある。
早朝、寝ぼけまなこで洗面脱衣室のドアを開け、バスルームのすりガラス越しに裸のシルエットを見てしまったり、ソファでうたた寝していたら起こされ、至近距離にイケメンフェイスがあって心臓が止まるかと思ったりしたことがあった。
「婚約者といっても形だけで、しかも期限つきです。お互いに気持ちがないのに、そういう関係にはなりません」
「百日で終わりにする気なのは金城だけなんだろ? 五十嵐さんはお前が好きだから、おかしな契約を交わしたように思えるが」
「違いますよ。私を好きなのか聞いたら、黙りこんでいました。気に入っているとは言われたので、ただそれだけです」
「ハイスペックな人だから百戦錬磨のイメージを持っていたけど、意外とシャイなのか」
(だから違いますって……でも、普通は疑問に思うよね。私も不思議。気に入っている程度の思いで、どうして私と結婚したがるの?)
機会があれば聞いてみたいが、恥ずかしくて言い出せるかどうか自信がなかった。
浅見と雑談していられたのは、そこまでだ。
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