100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
座席数二百四十の巨大なボーイング機が格納庫に納まると、夜勤の整備士たちが慌ただしく動き出す。
着陸時のバードストライクで、ライトエンジンにエラーメッセージが表示されたと報告があった。
羽田空港は海に面しているので、鳥よけを施しても海鳥との衝突は日常的に起きる。
可動式の足場を組んで異常が報告されたエンジンを内部まで確かめる。
新人の頃は高所での作業が少し怖かったが、今ではすっかり慣れたものだ。
「浅見さん、ファンブレードの傷ですまないようです。パンチングメタルにもダメージがあります」
「ドッグ整備に引き継ごう。機材交換になると連絡してきて」
「はい」
エンジンをバラバラに分解して破損した部品を交換し、組み直すには時間がかかる。それは和葉たちとは違う部門の整備士が担当する。
しばらくこの機体は使えないため機材調整が必要で、和葉は運航整備部の管理棟へ向かった。
報告をすませて格納庫へ繋がる連絡通路を歩いていると、前方からパイロットがひとり、こちらに向かって歩いてきた。
中背で前髪にほんの少し白髪が交ざり、やや垂れ目で口元に笑みをたたえているのは御子柴だ。
「おつかれさまです」
会釈してすれ違おうとしたら、話しかけられて足を止める。
「おつかれさま。エンジンエラーの件、聞いた?」
「はい。バードストライクのホノルル便は御子柴キャプテンでしたか。ドッグ入りが決まったところです」
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