100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
これまで彼にふるまったのは、カレーライスとカルボナーラだ。
美味しいと言ってくれたが、市販のカレールーとパスタソースを使ったので手料理にカウントしていいのかわからない。
(パーティー料理なんて作ったことないけど、挑戦してみよう。サプライズ誕生会を開いたら、五十嵐さんはどんな顔をするだろう)
恋愛に縁遠い自分が、婚約者の誕生日を準備する日が来るとは思わなかった。
格納庫へと引き返しながら驚く彼を想像すると、ワクワクと胸が高鳴った。

翌日の和葉は大忙しだ。
いつもなら夜勤明けは帰宅してすぐ寝るのに、今日はそんな暇はない。
急いで食材を買ってきて、慣れないパーティー料理に悪戦苦闘している。
ケーキも手作りしようと思ったのが間違いだった。
初挑戦のスポンジ生地は表面が黒焦げで中が生焼けになり、二度目は膨らまずに煎餅並みの固さに焼き上がった。
三度目はボソボソとした食感で、四度目にやっとマシなスポンジが焼けた。
それを冷ましてから生クリームを塗ってフルーツを飾り、ケーキ作りに五時間を費やしたため他の料理に取りかかったのは夕方だ。
冷蔵庫から牛もも肉の塊を取り出してまな板にのせてから、ふと手を止めた。
ローストビーフを作るつもりでいるのだが、携帯で検索したレシピには六十分かかると書いてある。
(今は十七時半。無理だ)
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