生きたくても生きられない君と生きたくないのに生かされる僕の一年間ノート

第3章 9月。僕たちはわかりあえないんだよ。〜交換日〜

9月30日〜小児科〜 
「あれ?いないなあ。早かった?」 
「わっ!」 
「きゃー!もう、びっくりさせないでよー。」 
「やっとやり返せた!」 
「私が小児癌じゃなくて心臓病だったら死んだかも。あなた殺人犯よ、やめてー。」 
「君が心臓病じゃないと知っている。でも、どっちも大変なんだろうね。」 
「心は気の持ちようだけど、身体は言うことを聞いてくれない。」 
「君は心の病気になったことがないからわからないんだよ。ポジティブ人間には。」 
「ひどい。でも、何もかも真逆だもんね、私たち。そりゃあ理解に苦しんで当然。」 
「君とはわかりあえそうもない。でも、君が悪い訳でも、僕が悪い訳でもない。違いすぎる人間だから、ってだけ。」 
「そうかな。そういうひとほど、お互いのことを補い合って生きていくんじゃないかな?そうやってみんな生きているし、だから世界は回ってる。」 
「なるほどね。生きる前提の君からしたら、その考えは正しいし、素晴らしいもの。」 
「あなたは何か楽しいことないの?」 
「ない。君が生きる前提なら、僕は死ぬ前提だ。いつも死ぬことばかり考えている。」 
「それもそれで、なんか大変だね。でも、健康な身体がある、って私はあなたが羨ましい。」
「僕たちはずっとわかり合えない人間なんだ。何もかもが、求めているものが正反対。」 
「私のこと、嫌?ノートやめたい?」 
「ううん。続けたい。僕の、死ぬまでの思い出作りにする。君に手伝ってほしい。じゃあまた一ヵ月立ったら来るね。」 
「わかった!全面協力するよ!じゃあね!」
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